ESDとは

目次


ESDとは?

持続可能な社会づくりの担い手を育むための教育です。
現代の世界には、環境、貧困、人権、平和、男女格差といった様々な問題があります。持続可能な開発のための教育(education for sustainable development: ESD)とは、これら現代社会が抱える課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組むことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動です。

(出典:ユネスコスクールとESD(2014年9月日本ユネスコ国内委員会))

ESDの目標

すべての人が質の高い教育の恩恵を享受し、また、持続可能な開発のために求められる原則、価値観及び行動が、あらゆる教育や学びの場に取り込まれ、環境、経済、社会の面において持続可能な将来が実現できるような行動の変革をもたらすことであり、その結果として持続可能な社会への変革を実現することです。

一人ひとりが、世界の状況や将来の世代と、現在の社会や自分との関係を見つめ、自らが生きる社会を持続可能な社会とすべく、その社会づくりに参画するようになることを目指します。

(出典:我が国における「国連持続可能な開発のための教育の10年」実施計画(ESD国内実施計画))


我が国におけるESD

  • 世代間の公平、地域間の公平、男女間の平等、社会的寛容、貧困削減、環境の保全と回復、天然資源の保全、公正で平和な社会など、ESDにおいて取り組むべき課題は多岐にわたります。ESDで目指すべきは、個々人が、単にこれらについての知識を網羅的に得ることだけではなく、「地球的視野で考え、様々な課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組み(think globally, act locally)、持続可能な社会づくりの担い手となる」よう個々人を育成し、意識と行動を変革することです。

  • そのためには、人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育むという観点、個々人が他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性の中で生きており、「関わり」、「つながり」を尊重できる個人を育むという観点の2つの観点が必要です。

  • このような視点を踏まえた上で、公共に主体的に関わり、持続可能な社会づくりに参画する個人を育むことを目指します。それは、未来の社会を描き、その実現に向けた取組を実行できる人づくりということも言えます。

(出典:ESD国内実施計画)

ESDの概念図

(出典:ユネスコスクールとESD(2014年9月日本ユネスコ国内委員会))

ESDの学び方、教え方

  • 「関心の喚起→理解の深化→参加する態度や問題解決能力の育成」を通じて「具体的な行動」を促すという一連の流れの中に位置づけることが大切。

  • これらの過程では、単に知識の伝達にとどまらず体験、体感を重視して、探求や実践を重視する参加型アプローチとすることが大切。

  • 活動の場で学習者の自発的な行動を上手に引き出す「ファシリテート」の働きを重視することが大切。

  • これらのアプローチを通じて、学習者の参加する態度や問題解決能力を育み、参加する機会の提供にも努めることが必要。

  • このような学び方、教え方を実践するためには、参加体験型の学習方法や合意形成の手法を活用することが効果的。

(出典:ESD国内実施計画)

ESDを通じて身に付けたい能力・態度

 ESDを通じて身に付けたい能力・態度については、以下のように、いろいろな見解が示されています。

  • ESDの10年開始時に国際実施計画策定過程で最低限必要とみなされた能力・態度
    1. 私たちの生活の基盤である身の回りの自然や社会、文化に関心を持ち、きちんと認識すること(認識能力)
    2. 他人の言うことをうのみにせず、自らの頭で考えて判断すること(批判的思考能力)
    3. 学ぶだけでなく、学んだことを実践できるような行動力(実践力)

(出典:国際連合大学)


  • ESDにより育みたい力
    1. 問題や現象の背景の理解、多面的かつ総合的なものの見方を重視した体系的な思考力(systems thinking)
    2. 批判力を重視した代替案の思考力(critical thinking)
    3. データや情報を分析する能力
    4. コミュニケーション能力
    5. リーダーシップの向上
    6. 人間の尊重、多様性の尊重、非排他性、機会均等、環境の尊重といった持続可能な開発に関する価値観

(出典:ESD国内実施計画)


  • ESDの視点に立った学習指導で重視する能力・態度(例)
    1. 批判的に考える力
    2. 未来像を予測して計画を立てる力
    3. 多面的、総合的に考える力
    4. コミュニケーションを行う力
    5. 他社と協力する態度
    6. つながりを尊重する態度
    7. 進んで参加する態度

(出典:ESDの学習指導過程を構想し展開するために必要な枠組み:国立教育政策研究所)

我が国におけるESDの重点課題

  • 我が国を含む先進国に何よりもまず求められるのは、社会経済システムに環境配慮を織り込んでいくことです。具体的には、大量生産・大量消費・大量廃棄に基礎を置く生活スタイルや産業構造を転換し持続可能な消費・生産パターンを定着させることや生物多様性を確保することなどです。

  • 人権や文化等に対する配慮を織り込んでいくことも大切です。

  • 個々人の暮らしや地域の課題は、環境、経済、社会がそれぞれ縦割りで存在するものではないことから、総合的、重層的なものであるはずです。環境の保全から始めた取組も、人権や福祉等の課題の解決等への発展につながっていくよう取り組むことが望まれます。例えば、地域の自然資源の活用を促進する取組により、地域経済の向上と環境保全が図られるだけでなく、この取組に地域の多様な主体が参加することにより、地域コミュニティの関係性が向上し、地域で顔の見える関係が構築され、地域福祉の向上にもつながります。

  • 国際的な視点からは、世界規模で持続可能な開発を図る上で不可欠な開発途上国の直面する諸問題に対する理解の強化と開発途上国の諸主体との連携・協力の強化によるミレニアム開発目標の達成、初等教育の完全普及や教育における男女の平等などを目指す万人のための教育(EFA)の達成が、先進国として求められる点です。

  • 先進国における消費・生産活動を始めとする社会経済活動と、開発途上国における持続可能な開発に関わる貧困等の諸問題は、相互に密接につながっており、これらについても統合的に扱っていくことが重要です。

  • 政府としては、我が国のESDについて、先進国が取り組むべき環境保全を中心とした課題を入り口として、環境、経済、社会の統合的な発展について取り組みつつ、開発途上国を含む世界規模の持続可能な開発につながる諸課題を視野に入れた取組を進めていきます。

(出典:ESD国内実施計画)

参考文献

DESD国際実施計画
http://www.yc.tcu.ac.jp/~sato-laboratory/files/3-5-3.pdf

グローバル・アクション・プログラム
http://www.mext.go.jp/unesco/004/1345280.htm

我が国における「国連持続可能な開発のための教育の10年」実施計画(ESD国内実施計画):
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokuren/keikaku.pdf

ユネスコスクールとは

  • ユネスコスクールは、1953年、ASPnet(Associated Schools Project Network)として、ユネスコ憲章に示された理念を学校現場で実践するため、国際理解教育の実験的な試みを比較研究し、その調整をはかる共同体として発足しました。

  • 世界181か国で約10,000 校がASPnetに加盟して活動しています。日本国内では、2015年2月現在、913校の幼稚園、小学校・中学校・高等学校及び教員養成系大学がこのネットワークに参加しています。

  • 日本では、ASPnetへの加盟が承認された学校を、ユネスコスクールと呼んでいます。ユネスコスクールは、そのグローバルなネットワークを活用し、世界中の学校と交流し、生徒間・教師間で情報や体験を分かち合い 、地球規模の諸問題に若者が対処できるような新しい教育内容や手法の開発、発展を目指しています。

  • 文部科学省および日本ユネスコ国内委員会では、ユネスコスクールを持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)の推進拠点と位置づけています。

(出典:ユネスコスクール公式ホームページ)

ユネスコスクールの理念

  • ユネスコの理念を具体的な行動に結びつけるため、ユネスコはASPnetを1953年に設立しました。このネットワークに加盟するユネスコスクールは以下の活動を実施します。
  • → 質の高い教育を実践し、普及させる
  • → 人材養成、平和、正義を追求する
  • → 世界中の青少年の教育ニーズに対応する

  • ユネスコスクールは「平和の案内役」であり、効果的な変化をもたらす媒体です。

(出典:ユネスコスクール公式ホームページ)

ユネスコスクールの活動目的

  • ユネスコスクール・プロジェクト・ネットワークの活用による世界中の学校との交流を通じ、情報や体験を分かち合うこと

  • 地球規模の諸問題に若者が対処できるような新しい教育内容や手法の開発、発展を目指すこと

(出典:ユネスコスクール公式ホームページ)

ユネスコスクールが目指す21世紀の学習の4本の柱

  • 知ることを学ぶ:複雑な世界の理解に備え、将来の学習のための基礎を作る

  • 試すことを学ぶ:グローバル化する経済や社会において機能するためのスキルを身につける

  • 人間として生きることを学ぶ:個人がそれぞれの知的・社会的な可能性を活かせる、バランスの取れた情緒と身体を持つ人間を育成する

  • 共に生きることを学ぶ:個人や社会が平和的に共存できる社会のあらゆるレベルでの人権・民主主義・異文化理解と尊重・平和と人間関係に触れる

(出典:ユネスコスクール公式ホームページ)

ユネスコスクールのロゴ

  • ユネスコスクールに加盟すると、ユネスコ本部で定められた「ユネスコスクールロゴ」を使用することができます。これまでは、ユネスコスクール新規加盟校に認定証をお送りする際、あわせて「ユネスコスクールロゴ」のデータを保存したCD-ROMをお送りしていました。

  • 今後、ユネスコスクールロゴデータについては、ユネスコスクール公式ウェブサイト(みんなの掲示板)に掲載することにいたしましたので、当該掲示板にアクセスいただき、積極的に活用いただきますようお願いいたします。

ユネスコスクールガイドライン

  • 日本ユネスコ国内委員会では、教育小委員会及びその下に設置したユネスコスクールワーキンググループにおいて検討を進め、以下のとおり、ユネスコスクールガイドラインをまとめています。(平成24年9月28日)

ユネスコスクールガイドライン

ユネスコスクールとして大切なこと
 ユネスコスクールの活動には、次のようなことが大切ですので、各学校におかれては、これらの点を念頭において活動いただくことを期待しております。

  • 国内外のユネスコスクール相互間のネットワークを介して、互いに交流相手の良さを認め合い、学び合うこと。

  • 地域の社会教育機関、NPO等との連携などを通じて、開かれたネットワークを築くよう努めること。

  • 校内外における各種研修の充実・活用を図るなど、ユネスコスクールの活動を通じて広く学校外にも働きかけ、我々人類社会が持続的に発展するよう心がけること。

  • 学校経営方針等にユネスコスクールの活動に取り組むことを明確に示し、学校全体で組織的かつ継続的にユネスコスクールの活動に取り組みやすくすること。

  • ユネスコスクールの活動を自らの学校評価の項目に盛り込み、活動の質の向上に努力すること。

  • 必要に応じ、ASPUnivNet 加盟大学をはじめとする高等教育機関の支援や協力を得ながら、ユネスコスクールの活動の充実に努めること。

持続発展教育(ESD)推進拠点として大切なこと
 ユネスコスクールが持続発展教育(ESD)推進拠点として発展していくには、次のようなことが大切ですので、各学校におかれては、これらの点を念頭において活動いただくことを期待しております。

  • 持続発展教育(ESD)を通じて育てたい資質や能力を明確にし、自分で、あるいは協働して、問題を見出し解決を図っていく学習の過程を重視した教育課程を編成するよう努めること。

  • 総合的な学習の時間を中心とした教科横断的な指導計画を立てるなど、指導内容を適切に定め、さらに、指導方法の工夫改善に努めること。

  • 持続発展教育(ESD)の推進拠点として、研究・実践に取り組み、その成果を積極的に発信することを通じて、持続発展教育(ESD)の理念の普及に努めること。